「人が足りず、社長や現場のリーダーが事務作業まで抱えている」「求人を出しても応募が来ない」――滋賀県や関西の中小企業から、こうした人手不足の悩みをよく耳にします。採用以外の打ち手として注目されているのが、業務の一部を外部に任せる外注(アウトソーシング)です。
ただ、「何を外注すればいいのか分からない」「任せたらかえって手間が増えた」という声も少なくありません。うまくいくかどうかを分けるのは、外注する業務の切り出し方です。この記事では、人手不足に悩む中小企業向けに、外注に向く業務の見極め方、業務を切り出す5つのステップ、依頼先を選ぶときのチェックポイントと注意点を分かりやすく解説します。
人手不足の中小企業こそ「業務の切り出し」から始めたい理由
人手不足への対策というと「人を増やす」ことに目が向きがちですが、採用には時間がかかり、採用できても育成期間が必要です。一方で、社内の仕事を棚卸しすると、社員でなくても対応できる業務や、決まった手順で繰り返している業務が意外と多く見つかります。
こうした業務を切り出して外部に任せることで、次のような効果が期待できます。
- 社員が本来注力すべき営業・顧客対応・企画などのコア業務に時間を使える
- 特定の社員に業務が集中する「属人化」を見直すきっかけになる
- 繁忙期・閑散期の業務量の波に合わせて体制を調整しやすくなる
- 業務手順を整理する過程で、ムダな作業や二重入力が見つかる
ポイントは「丸ごと誰かに任せる」のではなく、任せられる単位に業務を分けてから依頼することです。切り出し方があいまいなまま外注すると、確認や手戻りが増えて、かえって現場の負担が大きくなってしまいます。
外注に向いている業務・社内に残すべき業務の見極め方
まずは、どんな業務が外注に向いているのかを整理しましょう。一般的には、次の表のように考えると判断しやすくなります。
| 区分 | 業務の特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 外注に向いている | 手順が決まっている/繰り返し発生する/成果物の基準を言葉にできる | データ入力、書類作成・整理、受発注処理、問い合わせの一次対応、SNS投稿の運用補助、Webサイトの更新作業 |
| 条件付きで外注できる | 専門知識が必要だが、判断基準を共有できる | 経理の記帳補助、採用活動の事務(応募者対応・日程調整)、資料やバナーの制作 |
| 社内に残すべき | 経営判断が伴う/顧客との信頼関係の中核/自社のノウハウそのもの | 経営方針の決定、重要顧客との交渉、商品・サービスの企画、最終的な品質判断 |
判断に迷ったときは、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。
- その業務の手順や完成イメージを、第三者に説明できるか
- その業務を社外の人が担当しても、顧客や取引先に不利益が出ないか
- その業務に使っている時間を減らせたら、もっと価値のある仕事ができるか
3つとも「はい」に近ければ、外注の候補として検討する価値があります。
外注する業務を切り出す5つのステップ
ここからは、実際に業務を切り出して外注するまでの進め方を5つのステップで紹介します。
ステップ1:業務を洗い出す(棚卸し)
部署やメンバーごとに、日々・週次・月次で行っている業務を書き出します。最初から細かくまとめる必要はありません。「何を」「誰が」「どのくらいの頻度で」「どのくらいの時間をかけて」行っているかを一覧にするだけでも、業務の全体像が見えてきます。
ステップ2:業務を「作業単位」に分解する
たとえば「受注対応」という業務も、分解すると「注文メールの確認」「システムへの入力」「在庫の確認」「出荷指示」「顧客への連絡」といった作業に分かれます。判断が必要な作業と、手順どおりに進められる作業を分けておくと、どこまでを外部に任せられるかがはっきりします。
ステップ3:外注する範囲と優先順位を決める
分解した作業のうち、前の章の基準に照らして外注に向くものを選びます。いきなり広い範囲を任せるのではなく、効果が出やすく、失敗しても影響が小さい業務から小さく始めるのがおすすめです。
ステップ4:手順とルールを「見える化」する
外部のスタッフが迷わず作業できるよう、業務マニュアルや手順書を用意します。完璧なものである必要はなく、画面のスクリーンショットや実際の書類の見本があるだけでも伝わりやすくなります。あわせて、次の点を決めておきましょう。
- 成果物の基準(どの状態になれば完了か)
- 納期・対応時間と、急ぎの依頼の扱い
- 判断に迷ったときの確認先と連絡手段
- 扱う情報の範囲とセキュリティのルール
ステップ5:試行期間を設けて改善する
最初の数週間〜数か月は試行期間と考え、定期的に振り返りの場を持ちます。「質問が多かった作業」「手戻りが起きた作業」は、手順書の見直しポイントです。運用しながら少しずつ任せる範囲を広げていくと、無理なく定着させられます。
外注先を選ぶときのチェックポイント
業務の切り出しができたら、依頼先を検討します。料金だけで比べるのではなく、次のような観点で確認しておくと安心です。
- 対応できる業務の範囲:事務作業だけでなく、Web更新や制作物など周辺業務まで相談できるか
- スタッフの体制:担当者が急に休んだ場合の代わりの体制や、スタッフの育成・管理を誰が行っているか
- コミュニケーションのしやすさ:定例の報告や、チャットなど日常的な連絡手段に対応しているか
- 情報管理:秘密保持契約の締結や、個人情報・社内データの取り扱いルールが明確か
- 業務改善の提案力:言われた作業をこなすだけでなく、手順の改善やツール導入を提案してもらえるか
費用は依頼する業務の内容や量、期間によって大きく変わります。複数の業務をまとめて相談したほうが進めやすい場合もあるため、まずは切り出した業務の一覧を持って見積もりを依頼し、内容を比較するとよいでしょう。
外注で失敗しないための注意点
「丸投げ」にしない
外注しても、業務の責任や最終判断は自社に残ります。社内に窓口となる担当者を決め、定期的に状況を確認する仕組みをつくっておきましょう。
契約の形態と指示の出し方に気をつける
業務委託(請負・準委任)契約では、原則として発注者が外注先のスタッフに直接、業務の細かな指揮命令をすることはできません。実態が労働者派遣にあたると、いわゆる「偽装請負」として問題になるおそれがあります。作業の指示は外注先の責任者を通じて行う、成果物や業務の範囲を契約で明確にするなど、契約形態に合った進め方を確認しておきましょう。判断に迷う場合は、専門家に相談することをおすすめします。
業務の「中身」が社内から見えなくならないようにする
外注先に任せきりにしていると、社内で業務の内容を誰も把握していない状態になりがちです。手順書を共有の場所に保管し、更新内容を定期的に確認することで、将来の内製化や外注先の変更にも対応しやすくなります。
ITツールやアプリで効率化できないかも検討する
繰り返しの入力作業や集計作業は、外注だけでなく、業務効率化のツールやアプリで自動化できる場合もあります。「人に任せる業務」と「仕組みで減らせる業務」を組み合わせて考えると、より効果的です。ツール導入の進め方については業務効率化アプリの開発の進め方を解説した記事もあわせてご覧ください。
まとめ:業務を切り出して、人手不足に強い体制をつくろう
人手不足の対策として外注を成功させるポイントを振り返ります。
- 外注は「丸ごと任せる」のではなく、任せられる単位に業務を切り出してから依頼する
- 手順が決まっている業務・繰り返し発生する業務は外注に向いている
- 棚卸し→分解→範囲決め→見える化→試行・改善の5ステップで進める
- 依頼先は、対応範囲・体制・情報管理・提案力で比較する
- 契約形態に合った指示の出し方を守り、業務の中身を社内でも把握しておく
株式会社FLCアドバンスのアウトソーシングサービスでは、自社で雇用・育成したスタッフが業務委託で対応し、スタッフの管理も当社が行います。「どの業務を切り出せばいいか分からない」という段階からご相談いただけます。また、Webサイトの更新や運用を任せたい場合はWEB制作サービス、手作業そのものを減らしたい場合はアプリ開発サービスと組み合わせたご提案も可能です。
人手不足や業務の負担でお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。現在の業務内容をお伺いしたうえで、貴社に合った進め方をご提案します。